一棟の建物が複数の用途に供されているような場合、その建物又はその建物の敷地の用途別の範囲については、その建物の各用途別の床面積の比によって按分する方法が一般的には合理的であると考えられます。
例えばその建物が賃貸併用住宅で、そのうち賃貸の用に供されている部分の床面積の比が70%、住宅の用に供されている部分の床面積の比が30%であれば、その建物の取得価額、減価償却費、固定資産税等の費用や譲渡収入はこの比率により用途別に配分し、その建物の敷地となっている土地についての費用等の配分も、同様にその建物の用途別床面積の比によって計算します。
婚姻期間が20年以上の配偶者に対して居住用不動産を贈与する場合に2000万円相当額までは非課税となる「贈与税の配偶者控除」について、贈与財産が賃貸併用住宅であるとき、配偶者が受ける贈与財産も建物の用途割合による床面積按分により計算されるのでしょうか。
その建物が賃貸併用住宅であるときに、受贈配偶者がその建物の住宅部分のみの贈与を受け、その部分につき区分登記をすることができるものでない限り、賃貸部分もその床面積の割合により取得したこととなり、贈与を受けた財産の全てについて贈与税の配偶者控除の対象とすることはできないことになります。
そこで、贈与税の配偶者控除の適用上では、長年連れ添った配偶者への配慮というこの制度の趣旨から、受贈配偶者が自己が贈与を受けた持分について優先的に住宅部分から贈与を受けたものとして居住用不動産の価額を計算して申告した場合には、その申告を認めることに取り扱われています(相基通21の6-3ただし書)。
また、相続税の申告時においても7年以内の生前贈与財産の加算について同様の計算方法によりその受贈財産の価額相当額(贈与税の配偶者控除額を限度)を特定贈与財産として課税価格加算の対象外とすることができます(相法19①②、相基通19-10)。
さらに相続時の小規模宅地の特例適用時においては、贈与税の配偶者控除の特例を前提とすればもはや賃貸併用住宅の残余部分は賃貸部分のみということになり、居住用部分についての特定居住用宅地としての小規模宅地の特例適用分は残されていないことになるのですが、同特例の適用要件である「死亡直前の現況」により判断されこととされ、上記の例では30%分を住宅用部分として特定居住用宅地の小規模宅地の特例の適用が可能とされます(措通69の4-9)。