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孫への遺贈と生前贈与

相続または遺贈により財産を取得した者は相続開始前7年以内(ただし、令和12年12月31日までに行われた贈与については経過措置が設けられています。)の期間内に被相続人からの贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与財産価額を相続税の課税価格に加算した価額を課税価格とみなしてその者の相続税を計算することとされています(相法19①)(注)。

このことは相続により財産を取得した者が相続人である場合だけでなく、孫や兄弟姉妹が相続人に該当しないときであっても、その者が遺贈(遺言)により財産を取得した場合には相続税の課税対象者となり、相続の開始前7年以内に受けた贈与財産も相続財産に加算されることを意味します。

相続税対策として相続人ではない孫への生前贈与が行われることがありますが、相続実務において、孫への遺贈を記載した遺言書を見ることがあります。

その場合、遺贈により財産を取得した孫は相続人ではありませんが、遺贈により財産を取得することにより、その受贈財産と相続開始前7年以内に受けた贈与分が相続税の対象となることになります。

では相続人ではない孫が遺贈の放棄をした場合にはどのようになるのでしょうか。

孫は本来相続人でないため相続税の対象ではないのですが、遺贈を受けることにより相続税の対象となるものです。そのため、遺贈を放棄するのであれば遺産を取得しないことになったばかりでなく、そのことにより相続開始の年以前7年以内の贈与財産加算も適用されないことになり、相続税の課税対象にはならないことになります。一方、相続開始年に被相続人から受けた贈与については贈与税の申告が必要となります。

(注)相続または遺贈により財産を取得した者が相続開始の年中において被相続人から贈与を受けた財産の価額で、相続税の課税価格に加算したものは、贈与税では、課税価格に算入されず、非課税となります(相法21の2④)。

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