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受取人を法定相続人と指定した生命保険金の受取割合

生命保険の契約者は、保険契約において特定の者を保険金受取人として指定することができますが、その指定受取人に代えて「被保険者の法定相続人」を保険金受取人とすることができます。

保険金受取人を法定相続人とすることで、指定受取人が死亡した際のその受取人に代わる受取人の再指定の手続き(保険法43)が不要となり、被保険者死亡時の法定相続人となります。

では受取人とされた法定相続人が亡くなっているときのその保険金の受取割合はどのようになるのでしょうか。

指定受取人死亡時に受取人の再指定がなされてない時の保険金の受取割合は、民法427条の規定に基づき平等の割合とされ、これまでの裁判例の多くも各相続人の相続分にかかわらず平等の割合とされてきました(前回の事例「生命保険金の指定受取人が死亡している場合の受取人の取扱い」参照)。一方受取人を法定相続人とした保険契約では、最高裁平成6年7月18日第二小法廷判決により、平等の割合でなく、原則として相続分の割合で権利を取得すると解されるようになりました。この判決では、「受取人を単に『相続人』とする指定には、保険事故発生時において相続人である者を受取人と定めることにあるとともに、右指定には、相続人に対してその相続分の割合により保険金を取得させる趣旨も含まれているものと解するのが保険金契約者の通常の意思に合致し、かつ合理的である。」としています。

そのため、保険契約時に法定相続人を受取人とした保険契約では、保険事故発生時(被相続人死亡時)の法定相続人の法定相続分に応じた保険金の受取りとなります。

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