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利用区分が異なる土地の譲渡所得

譲渡資産のうち、父より相続した①居住用部分の土地と売買により取得した②その他の部分の土地の2筆の隣接する土地がある場合の譲渡価額の按分はどのようになるでしょうか。

1 譲渡価額の配分

譲渡資産である土地のなかに「居住用財産の3,000万円控除の特例」の適用を受ける①居住用部分の土地とこれらの特例の適用がない②その他部分がある場合、①居住用部分と②その他部分のそれぞれの土地に配分することが必要です。

所得税基本通達33-11 (譲渡資産のうちに短期保有資産と長期保有資産とがある場合の収入金額等の区分)は,一の契約により譲渡した資産のうちに短期保有資産と長期保有資産とがある場合には,それぞれの譲渡資産の収入金額はこれらの資産の譲渡価額の総額をそれぞれの譲渡資産のその譲渡時の価額の比により按分して計算することを原則とし,その譲渡契約によりそれぞれの譲渡資産に対応する収入金額が区分されており,かつその区分がおおむねその譲渡の時の価額の比により適正に区分されているときはこれを認める取扱いをしています。

そのため、譲渡価額の総額は①居住用部分と②その他部分のそれぞれの土地の収入金額への配分も所得税基本通達33-11 の取扱いに準じて行うこととなります。

なお,それぞれの土地の譲渡時の時価に代えて譲渡契約を締結した年分のそれぞれの土地の相続税評価額を配分基準(それぞれの土地の利用区分による相続税評価額)として採用することも認められるでしょうし,また,それぞれの土地の時価の平均単価の差が僅少である場合にはそれぞれの土地の面積を配分基準として採用することも認められるでしょう。

2 取得費の計算単位

土地の取得費はその取得に関する契約等の異なる土地ごとに個別に計算することになります。

したがって,相続により取得した①居住用部分の土地の取得費は概算取得費( 措置法31条の4 )により,売買により取得した②その他部分の土地の取得費は,その購入価額によることとなります。

3 譲渡費用の配分

所得税基本通達33-11 は,一の契約により譲渡した資産のうちに短期保有資産と長期保有資産とがある場合で,これらの資産に係る譲渡費用で個々の譲渡資産との対応関係の明らかでないものがあるときは,その譲渡費用の額をそれぞれの資産に係る収入金額の比で按分するなど合理的な方法によりそれぞれの資産に係る譲渡費用の額を計算するものとしています。 これにより、①居住用部分の土地と紐付き関係にある譲渡費用は①居住用部分の土地に配賦し,①居住用部分と②その他部分のそれぞれの土地との対応関係の明らかでない譲渡費用は, 所得税基本通達33-11 の取扱いに準じてこれらの土地の収入金額の比により配分することとなります。

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