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代償分割に死亡保険金を用いる遺産分割の方法

相続財産に預貯金等の換価性のある財産がなく、売却が困難な不動産のみが相続財産のときに相続人固有の財産としての被相続人の死亡保険金を他の相続人へ交付するとどのような課税が生じるでしょうか。

指定受取人となっていた相続人(A)が受取る死亡保険金は、被相続人甲の遺産ではないのでこれを指定受取人以外の相続人(B)が取得すると、BはAの固有財産として帰属が確定した保険金を無償で取得したことになってしまい、原則としてBに贈与税が課税されることとなります。

そこで、上記の行為を遺産分割に関連付けて、AB間で行う遺産分割協議において代償分割の方法によりAが遺産の一部を取得した上で代償債務の履行として、Bに対してAの取得遺産額の範囲で固有財産となった保険金を原資に金銭を交付することとすれば有効な遺産分割となり、BはAの固有財産から交付される代償金を相続税の課税対象とすることによって贈与税を回避することができます。

ただし、BがAからAの取得遺産価額を超える代償金の交付を受けた場合には固有財産の処分として、その超過部分は、AからBへの贈与として贈与税の課税対象となりますので注意が必要です。

保険金の活用は、可処分財産が少なく分割が困難な遺産を円滑に分割することが可能となり、遺産でない死亡保険金を活用することにより、各相続人が合意可能な分割を実現することができ併せて相続税の納付資金等に充てることができ遺産分割の手段として有効な方法となります。

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