遺言により特定の相続人(又は相続以外の者)に多くの財産を相続させる(又は遺贈する)ことにより、後に他の相続人から遺留分の減殺請求を受けることがあります。
その結果新たに相続人となった者の申告期限はやはり「相続の開始を知った日から10月以内」となってしまうのでしょうか。
1 相続税の申告期限
遺留分の減殺請求により新たに相続税の納税義務者となった場合であってもその者の相続税の申告期限は、原則どおり相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内となり、例外は設けられていません(相法27①)。
なお、遺留分の減殺請求により新たに相続税の納税義務者となった場合における期限後申告については,正当な事由があるものとして無申告加算税は課税されません(通則法66①)。
また、この期限後申告により納付すべき相続税に係る延滞税については、相続税の申告期限から期限後申告書を提出した日までの間の期間は,延滞税の計算の基礎となる期間に算入されません(相法51②)。したがって、期限後申告書の提出と同時に、期限後申告により納付すべき相続税額を納付すれば、延滞税は課税されません。
2 更正の請求期限
共同相続人のうち遺留分の減殺請求に基づき返還すべき額又は弁償すべき額が確定したことにより相続税額が減少することとなった者は、その相続税について更正の請求をすることができます。
相続税の更正の請求期限は原則「相続税の申告期限から5年」となっていますが(通則法23)、未分割の財産が分割された場合や遺留分侵害額の請求による返還があった場合など特別な事情によるときは「更正の請求の特則」として、この特別な事情が発生した日の翌日から4月以内に請求申告をすることができます(相法32①)。そのため相続税の申告期限から5年経過後であっても請求を行うことができます。逆に特別な事情が相続税の申告期限から5年以内に生じたときはその発生日の翌日から4月以内に更正の請求を行わなければならないため、その場合は実質的に請求までの期限が短くなることになります。