土地・建物を譲渡した場合、どの年の所得となるのか、譲渡収入の計上時期の問題があります。
譲渡所得の収入金額は,その譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日の属する年分の譲渡所得の総収入金額に算入されます。ただし,納税者の選択により,資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法による許可が必要な農地等の譲渡は停止条件成就時)の譲渡所得の総収入金額に算入して申告があったときは,その申告が認められます(所基通36-12)。
資産の引渡しには,現実の引渡しのほかに,占有改定等(民法183)の観念的な引渡しも含まれますが,土地建物等の譲渡の引渡しについては,譲受者がその土地建物等の使用を開始した時期や譲渡者がその土地建物等の所有権移転の登記に必要な権利証等を譲受者に交付した時期,あるいはその土地建物等の管理権の移転があった時期などに基づいて,個々のケースに応じ,譲渡した資産の事実上の支配権がいつ移転したかによって総合的に判定されることになります。
したがって,土地建物等の所有権移転の登記が完了している場合には,少なくともその所有権移転の登記に必要な権利証・印鑑証明書等を譲受者に交付した時に,土地建物等の引渡しが行われたとみるべきですが,所有権移転の登記が行われている場合であっても,譲受者が譲渡者に支払った手付金・中間金を担保する目的で行われた登記であると認められるときは,その所有権移転の登記に必要な権利証等の交付は,土地建物等の引渡しには該当しません。
また、注意が必要なのですが、引渡し前であっても譲渡代金の全額を受領しているときは、その受領した日が譲渡収入を計上すべき日となります(所基通36-12(注)。 以上により、土地・建物を譲渡した際の譲渡収入の計上時期は、譲渡資産の引渡日と、譲渡代金の全額受領日のいずれか早い日。但し、納税者が売買契約の効力発生日(売買契約締結日)を選択したときはこれが認められます。