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法人が借地権設定時に収受すべき適正な権利金の額

1.法人貸主

法人が所有する土地に借地権を設定するに際に、「適正な権利金の額」を収受していないとき、①相当の地代を収受しているとき、又は②無償返還の届出を提出している場合を除いて、実際に収受している権利金との差額について権利金の認定課税が行われます。

適正な権利金の額とは、算式:適正な権利金の額=土地の更地価額(通常の取引価額)×(1-実際の地代の年額/相当の地代の年額*1)により算出します。

*1:実際に収受している権利金の額がある場合でもこの金額がないものとして計算した金額によります。

《例1》

土地の更地価額(通常の取引価額)5,000万、借地権割合60%、相当の地代の年額300万、実際の地代年額120万とすると、5,000万×(1-120万/300万)=3,000万が適正な権利金の額となります。仮に実際に収受している権利金の額が1,000万であったとすると、適正な権利金の額に満たない2,000万(適正な権利金の額3,000-収受した権利金1,000万)が権利金の認定課税を受けることになります。

では権利金の認定課税2,000万円を回避すべき上記①の収受すべき「相当の地代」はいくらになるのでしょうか。

《例2》

「相当の地代」の算式は、相当の地代=(土地の更地価額-収受した権利金額)×6%となります。

収受した権利金が1,000万であったとすると、収受すべき相当の地代(収受すべき実際の地代)は(5,000万-1,000万)×6%=240万となります。これを「適正な権利金の額」の算式に当てはめると5,000万×(1-240万/300万)=1,000万となり、適正な権利金の額3,000万円に満たない実際の権利金の額1,000万円の収受であったとしても、相当の地代を収受することにより権利金の認定課税を免れることになります(*2)。

逆に相当の地代である240万円の収受がないときには、権利金の認定課税(2,000万円)により実際の地代120万が適正な地代とされ、地代の認定課税を受けることはありません。

*2:「相当の地代方式」によって借地権の設定をするときの収受すべき相当の地代(実際の地代)は分母と同様の300万であり、「適正な権利金の額」は5,000万×(1-1)=0となり、地代の支払のみで権利金の支払がなくとも権利金の認定課税はないことになります。

2.法人借主

法人借主時にも、「権利金収受方式」により借地権の設定があった際の収受すべき権利金の額は、法人貸主の「適正な権利金の額」と同様の算式により権利金(借地権)の認定課税が行われ、権利金収受不足額を補う「相当の地代」の収受により権利金の認定課税がなされないこととなります。

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