父が自己を受取人として祖父に保険をかけていた場合、被保険者である祖父より先に保険料負担者(契約者)である父が先に亡くなった時の課税関係
1 生命保険契約に関する権利の承継
生命保険契約に係る保険事故が発生する前に保険料を負担していた保険契約者が死亡した場合には、その生命保険契約に関する権利(生命保険契約上の契約者としての地位)は、本来の相続財産として保険契約者の相続人が承継することになります。
2 生命保険金の受取権利の承継
保険金受取人の死亡後において保険金受取人の再指定がなされていない場合には、その死亡した保険金受取人の相続人が保険金受取人となり、相続人が2人以上あるときは、生命保険金は本来の相続財産ではありませんから、保険金受取人に帰属する生命保険金に対する各相続人の持分割合は、法定相続分でなく均等となります。
3 保険料の負担割合の承継
保険料を負担していた保険契約者に相続が発生した場合、生命保険契約に関する権利(保険契約者である地位)の相続(承継)における被相続人が負担していた保険料は、相続人が本来の相続財産として相続した生命保険契約に関する権利の持分割合に応じ負担していたものとなり、法定相続分による承継となります。
4 受取保険金の課税関係
父の相続時に遺産分割協議がなされていない場合、保険金を受取る権利は受取人固有の財産であるため均等相続される。一方、生命保険に関する権利は本来の相続財産であるため法定相続分で相続されることとなり、祖父死亡時の課税関係は相続人の一時所得の他に贈与税の問題が生ずる。例えば父の死亡により相続人が配偶者及び子供2人の場合、保険金受取分は父の受取人固有の財産であるため均等の3分の1となるが、保険料負担分である生命保険に関する権利相続分は配偶者が2分の1、子供2人がそれぞれ4分の1となる。これにより子供2人は母から、受取保険金分の3分の1から保険料負担分4分の1を控除した12分の1を贈与により受けたことになる(母負担分:1/3-1/2=△1/6)。
*保険料負担者と保険契約者が異なる場合には名義保険となり、契約者固有の財産となります。