道路の拡幅事業等により自宅の一部を収用され、残地を不動産業者に売却した場合に、収用等の特別控除と居住用財産の特別控除の併用はできるのでしょうか。
1 自宅の庭を収用され、残地を売却した場合
道路拡幅事業のために買収された敷地の一部(庭の部分)については、収用等の場合の課税の特例を受けることができます(措法33、33の4)。
また、不動産業者に売却した残地(居住用家屋とその敷地)については、居住用財産の特別控除の特例を受けることができます。
ただし、同一年中に収用交換等の特別控除(措法33の4)の特例と居住用財産の特別控除の両方の特例を受ける場合には、特別控除の累積限度額は5,000万円となります(措法36、措通36-1)。
2 自宅家屋部分を収用され、残地を売却した場合
自宅家屋部分の収用のために家屋の全部又は一部を取り壊した場合に措置法通達35-2(*1)の適用は可能なのでしょうか。
居住用家屋の全部又は一部を取壊し収用等の課税の特例の適用を受けることは,対価補償金は建物の譲渡対価であり、居住用家屋の譲渡とその経済的実質において異なるところはないということができます。
したがって,居住用家屋を取り壊した後の跡地の譲渡が措置法通達35-2 の要件を満たす場合であっても,その居住用家屋の取壊しは,その居住用家屋の敷地であった土地を譲渡するための取壊しということはできませんから,その居住用家屋の敷地であった土地の譲渡について, 収用された土地だけでなく残地部分の不動産業者に売却した部分についても 措置法通達35-2 の取扱いは適用されないと思われます。
*1 措置補通達35-2
措置法通達35-2 は,居住用家屋の敷地であった土地のみの譲渡が次に掲げる要件を満たす場合には,土地のみの譲渡であっても,その土地は3,000万円控除の特例の対象となる居住用財産として取り扱うこととしています。
イ 取壊した居住用家屋の敷地であった土地をその居住用家屋を居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したこと
ロ 居住用家屋を取り壊した日から1年以内にその土地の譲渡契約が締結されていること
ハ 居住用家屋を取り壊した後その土地の譲渡契約を締結した日までの間その土地を貸付けその他の用に供していないこと
3 1のケースで自宅を取壊して残地を売却した場合
庭の部分(自宅の敷地の一部)について収用等の課税の特例を受ける場合であっても、その居住用家屋の取壊しは、その居住用家屋の敷地であった土地を譲渡するための取壊しということができ,その居住用家屋の敷地であった土地の譲渡について 措置法通達35-2 の要件を満たすのであれば、両特例の特別控除の併用は可能と思われます。