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遺産分割協議のやり直しと贈与課税

 最高裁(平成2・9・27判決)において「遺産分割の合意解除と再分割は法律上妨げられない」との判決があります。
 遺産の再分割の法的効果は相続開始の時に遡及することは私法上はもちのんのこと、相続税法の適用上も同様であると考えられます。
 これに関し、平成11年2月25日東京地裁判決では、第2次分割により財産を取得した相続人への贈与税課税処分に対しての納税者による課税処分取消請求訴訟において、「その再分割を行うことが当初の遺産分割協議を遺産全体について(共同相続人全員により)合意解除した後に再度遺産分割協議を成立させたものではなく、当初の遺産分割協議の効力を維持した上でその一部を調整する目的で新たな移転を部分的に行うものにより生じた経済的利益は贈与により取得したものというべきであり、前記最高裁の判決の内容と抵触するものではない」として、納税者の請求を棄却しました。
 この一審判決は、控訴審・最高裁(平成13・6・4上告不受理決定)においても維持されています。
再分割の行為が当初の遺産分割を合意解除した後に再度の遺産分割協議を成立させたものであるのか、それとも、当初の遺産分割協議の効力を維持した上でのその一部を調整する目的での新たな移転による贈与の認定の判断は、再度の遺産分割協議が行われるに至った原因、経緯、相続人の認識等の諸事情を総合しての事実認定に属する問題であり、その合意解除及び再分割が客観的、かつ、具体的に立証された場合には、その再分割による遺産の取得の効果は相続による取得として相続開始の時に遡及し、贈与税等の課税対象とされることはないと思われます。
 また、上記東京地裁での判決では、「・・・法定申告期限後に納税義務の軽重に関する動機の錯誤を理由として納税義務の発生原因となる私法上の法律行為の無効、合意解除を無制限に許容するときは、租税法律関係に著しい不安定をもたらすことになるから・・・その時期及びこれに至った理由原因がその解釈において重視されるべきことはいうまでもない。」旨を判示し、租税法の解釈適用上は、当初の遺産分割協議の合意解除及び再度の遺産分割協議の成立が無制限に認められるわけではなく、その成立の可否の判断は慎重に行われるべき旨を示しています。

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