所得税基本通達58-12では交換資産の時価として、「交換当事者間において合意されたこれらの資産の価額が交換をするに至った事情等に照らし合理的に算定されていると認められるものであるときは、その合意された価額が通常の取引価額(時価)と異なるときであっても、所法58条の規定の適用上、これらの資産の時価は、その交換当事者間において合意されたところによるものとする。」としています。
つまり、交換当事者間において資産の交換が、経済的合理性に下に行われたものであり、交換当事者間において交換資産の客観的時価の差額に相当する経済的利益の供与が行われたと認められない場合、言い換えると、交換当事者にとって主観的価値の下に行われ合意された資産の交換は「等価」とすることとしています。
しかしながらこの通達は経済的利益の供与が推定される親子や兄弟姉妹あるいは同族会社とその経営者といった特殊関係者間における交換の場面ではそのまま適用することはできません。
特殊関係者間においてはその交換が経済的利益の供与を伴う固定資産の交換であることを説明できない限り、等価とはならず、同通達は適用できないこととなります。
ただし、親子等の特殊関係者間であっても、交換資産の差額がいずれか高い資産の通常の取引価額(時価)の20%以下であれば、固定資産の交換の特例(所法58条)の適用は受けることができます。